※2015年5月28日 冒頭部分修正
AIIB(アジアインフラ投資銀行)を中国が主導して推し進めている事からも、
今後、さらにアジア全体の発展が期待されています。
そんななか、今また改めて話題となっているTPP。
いったいTPPとは何なのか?
関税撤廃?
日本の産業はどうなるの??
こんかいは、これらの問題を簡単にお話してみます。
TPPっていったい何なの?
アベノミクスの3本の矢の一つである成長戦略、
その中心となっているのがTPPです。
TPP(Trans Pacific Partnership)、日本語では『環太平洋戦略的経済連携協定』
もしくは『環太平洋パートナーシップ協定』と言います。
参加している国同士では、関税を撤廃して輸出入を自由化、
将来の目標としては経済に関わる全ての障壁を取り払ってしまうという事が目的です。
TPPは日本に取って良い事?悪い事?
TPPをめぐっては、マスコミに出ている多数の有識者や政治関係社が
その是非について様々な議論していますよね。
日本全体にとっては良い事なのか?悪い事なのか?
が一般市民では分かりにくくなってしまっています。
ではそのメリットと、デメリットを考えてみましょう。
メリット
①参加各国の関税撤廃により、高品質な日本製品の輸出の可能性が高まる
日本も含めた各国、業界によってはもの凄い関税をかけて、
自国の産業を守っています。
その関税が無くなるという事は、精密部品などのもの作りに特化している業界は、
商売の可能性が高まります。
②貿易手続きの簡素化により、製造業が効率化。コストが減って利益が増える
私が勤めている商社や製造業などでは、
関税撤廃や貿易手続き、貿易費用が圧縮される事によって、
三国間貿易や四国間貿易の効率がUP、
それによってコストが安くなりますので、
利益を増やす事が出来ます。
③様々な業界の国際化(グローバル化)が促進される事により、GDP(国内総生産)の増加
携帯や精密機械のなど、海外の企業がまねする事が出来ない製品は、
関税撤廃によって国際競争力が高まります。
これらの業界に限っては、海外からのオーダーを増やす事が出来るでしょう。
デメリット
①海外の安価な商品が日本国内に氾濫し、デフレスパイラルを引き起こす可能性がある
安かろう悪かろうの大量生産の製品が、海外から大量に輸入される事によって
日本企業も価格競争をせざるを得ない状況になるかもしれません。
アパレル業界で言うと、ファストファッションと呼ばれる『H&M』『ZARA』などが 分かりやすいですね。
これらのブランドは世界中で同じ商品を販売しているので、
一気に大量生産をする事により、効率を上げて格安で生産しています。
品質にこだわりは無いので、ユニクロなどの日本ブランドの方が明らかに品質は良いですよね?
ですが、品質にこだわりの無い消費者も増えているため、
当時から日本ブランドも価格競争に巻き込まれていて、
今もその影響で苦しんでいるブランドはたくさんあります。
②海外の安価な農作物により、日本の農家が絶滅してしまう可能性がある
メリット①の逆パターンですが、各国ともに、自国の産業を守る為に高い関税をかけています。
日本のお米農家だと、700%以上もの関税で守られています。
ですので、もしこの関税が撤廃されれば、日本の農業のダメージは計り知れないものとなる事は
容易に想像が出来るでしょう・・・。
③食材の安全基準が緩和され、日本の食の安全神話が崩れてしまう可能性がある
TPPの将来の目的は、貿易の自由化です。
今は日本は、残留農薬などはかなり厳しい検査をしています。
この基準の見直しも迫られ、海外のユル~い基準になってしまい、
危険な食品が大量に出回ってしまう恐れがあります。
④アメリカのように、医療保険が自由化され、医療の格差が拡大する可能性がある
保険適用外の治療法と適用内の治療法を組み合わせる事を『混合医療』と言います。
ですがこの組み合わせをすると、適用範囲内の治療であっても
全額負担をしなければいけません。
その為、日本の病院ではあまり勧められた事は無いと思います。
外国の医療系企業が日本の医療へ参入してくるという事は、
利益を追求する可能性が高く、
日本の企業も同じ土俵で戦わなければいけなくなります。
現在の日本の医療制度は、国民が全員加入し、負担率は同じという仕組み。
医療は、皆平等で受診しやすくする制度です。
この制度の根本が崩れてしまう可能性が高いという事です。
参加してからの撤退は出来るの?
TPPでは一応、撤退する事は出来る事となっています。
ですが実際は、一度参加してしまうと簡単には撤退する事が出来ません。
例を挙げてみましょう。
日本が参加する事を決定した場合、日本市場に参入しようと考えている海外企業はたくさんいます。
これらの企業の株価は、間違い無く上がるでしょう。
その後、これらの外国企業の影響で日本企業の経営が苦しくなり、日本政府がTPP撤退を決定。
そうすると、これらの企業の株価は多少なりとも下がってしまいますよね?
投資家や企業は損をしてしまいます。
中には、破産してしまう人も出てきてしまうかもしれません。
このような事になった場合、海外の企業や投資家は
日本ではなく
国際投資紛争解決センターに提訴する事が出来るのです。
国際投資紛争解決センターは、世界銀行の管轄。
銀行界の大ボスです(笑)ので、当然一番強いです。
日本政府や企業など、莫大な損害賠償を迫られる可能性があります・・・。
このように、参加するのは簡単ですが、撤退障壁はもの凄く高い・・・
((((;゚Д゚)))))))
というカラクリになっているんですね。
TPPによる日本経済や生活への影響、アメリカの思惑とは?
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