今では、老若男女問わず
登山を楽しむことができる富士山。
実はかつては、女性は登ることが許されなかったのです。
平安時代より、富士山は「霊山」として
山岳信仰の対象になっていました。
「不浄」と考えられてきた女性には、
けっして登る事が許されなかったんですね。
これは、なにも富士山に限ったことではなく、
相撲の土俵なども「女人禁制」。
そのため、江戸時代の女性たちは
吉田口登山道の2合目にあった御室浅間神社までしか登れませんでした。
そして、神社東南1キロ上の「女人天拝所」から
景色を眺めるしかなかったのです。
そんな中、富士山に初めて登った女性として有名な「高山たつ」は、
男女平等派の男性たちの協力を得て、
マゲを結って、男装してこっそりと山に入り、
見事頂上にまで辿り着いたということです。
江戸時代後期(天保3年)のことで、
これが記録に残る女性初の登頂。
その後、明治5年(1872)の女人禁制解除で、
女性たちも登ることができるようになったのです。
女性は強い!
でも登山初心者が富士山に挑戦したら
どれくらいの時間がかかるんでしょうね?
そこまでしても登りたい!
富士山には人を惹きつける魅力があるのでしょうか?
初心者におススメのルートや必要な時間は?グループ登山の注意点!
年間30万人以上の登山客が訪れる観光スポット。
そんな富士山、日本国民のものだと考えがちですが、
実は富士山の一部、八合九勺(3,360m)から上は
「私有地」なのです。
とは言っても、頂上に鎮座している「浅間神社」が持ち主なんですけどね。
そもそもの持ち主は、なんと徳川家康で、
1606年に徳川家康から大社に寄進された
と伝えらています。
富士山の頂上というのは、正しくは神様の家なんです!
初心者おススメのルート
「吉田ルート」というのが、初心者におススメのルート。
富士登山のメイン登山道・山小屋も多く、
富士登山道で最もポピュラー。
富士スバルライン5合目が吉田ルートの登り口です。
平均傾斜がゆるいこともあり、
年間登山者の半数近くが吉田ルートで登っています。
また、医師が常駐している救護所や
富士山安全指導センターもあってメリットも多いのですが、
人気が高い分シーズン中は、かなり混雑してしまいます。。。
わたしが吉田ルートから登るのは、
だいたいはシーズン前の山開き直後。
この時期なら、混雑とは無縁で登ることが出来ますよ。
首都圏からのアクセスも、全ルートの中で一番便利!
❖標高差:1,471m(往復の距離:約14㎞)
- 登 り : 7時間位
- 下 り : 4時間位
注意点としては、吉田ルートでも7合目、
そして須走ルート合流してからの9合目にも
急傾斜の岩場があります。
ただし吉田・須走ルートでは、
登山道と下山道が分かれているので、
急勾配の岩場を下るリスクが無いんです。
そのあたりも、初心者におススメの理由ですね!
山頂でのお鉢めぐり(富士山の山頂をぐるっと周ること)も
楽しみの一つ。
お鉢めぐりの所要時間は、約1時間30分。
富士山を登りきった時には、体力は使い果たしています。
が、なぜかお鉢めぐりは出来てしまうんですよね〜。
※吉田ルートの場合、所要時間に男女差は、
あまりありません。
自分の富士登山の注意点としては、
自分のペースで登ること。
絶対に、自分のペースを崩さないで下さい。
なぜなら、登山ブームが加熱するにつれて、
心不全や脳卒中などで倒れる人が増えているから。
初心者ばかりのグループで登ると、
元気な人がついつい速く歩いてしまい、
他の人もそれにつられてしまいます。
特に「吉田ルート」から登ると
最初に平坦な道や緩い下り坂が続くので、
多くの人がオーバーペースになっています。
しかし、そこは標高2,300mの世界です。
慎重に歩きましょう。
速く歩いてしまうと、
仲間が高山病などで倒れる可能性があります。
グループ登山のリーダー格の人は、
この点に十分注意しましょう。
登山能力の個人差は大きいです。
けっして急かしてはいけません。
富士山では、空気の薄さのせいで頑張れないのです。
また、先に歩いて行く仲間に、絶対に無理して追いつこうとせず、
自分のペースは守って下さい。
自分の生命を守るためです。
「早く来い、がんばれ」と言うような言葉は無視しましょう。
プロの富士登山ガイドでも、かなりゆっくり歩きます。
せっかくの富士山初登山!
山をあなどらずに、ゆっくり自然を楽しみましょうね。
★泊りで行くべきか?日帰りで行くべきか?各ルートでの時間は?
❖体力
標準コース時間は、登りで6~7時間です。
この長い時間、登り続ける体力があるかどうかがポイントです。
そして、登頂だけで体力を使い果たすようではダメです。
下山のために、少なくとも3~4割の余裕が必要。
実際に、10代・20代でも全くスポーツをしていないようでは、
日帰りは厳しいかもしれません。
しかし、2~3回でも登山経験があれば、
10~30代なら日帰りは可能でしょう。
40代以上では、普段からスポーツ、登山をしているか、
毎日散歩を欠かさないぐらいでないと、
日帰りは難しいかもしれません。
肝心なのは、体力不足を補う登り方ができるかどうかです。
事前に少なくとも1回は練習登山をしましょう。
日帰りが可能かどうかを試しておくのは必要です。
❖体調管理
登山前には、充分な睡眠が取れるかどうかが大切です。
「ご来光」を目的とする場合は、日帰りでは夜間の登山。
徹夜でなくとも睡眠不足は避けられません。
遠方から来る場合は、前泊が必要ですし、
近くからであっても仮眠が必要です。
電車や高速バスの席でもグッスリ眠れたり、
変則的な生活に対応できるかどうか?がポイントです。
❖高山病
山小屋に泊まると、翌朝に高山病の症状を訴える人がいます。
睡眠中は呼吸が抑制されるために、
酸素不足になることが原因のようです。
これを避けるには、標高の低い山小屋に泊まるべきですが、
その分山頂からは遠くなり、翌日が厳しくなってしまいます。
❖山小屋の快適度
山小屋泊には山小屋泊なりの問題があります。
山腹や山頂の山小屋は、
ホテルのようなスペースは確保できませんから
基本的に大部屋に雑魚寝となります。
体力を回復させるどころか、慣れない人は、
かえって疲れるということにもなりかねません。
とは言っても、もちろん快適な山小屋も多くありますし、
常に混雑しているわけではないですよ。
山開き直後の7月中旬や、閉山直前の9月上旬なんかだと、
比較的空いています。
❖日帰り登山は、初心者にはチョッと大変かも
日帰り登山では、
日没前に下山を終える計画を立てる!
ことが常識。
富士登山シーズンの日照時間は12~15時間です。
標準コースタイムは9~12時間なので、
食事や休憩、お鉢巡りの時間を考えると
日帰りは時間的にギリギリですよね。
初心者にとっては厳しいかも・・・
もし、電車で来られている場合、
下山は夕方日没ごろになるので、
帰りの電車の時間も気になります。
各ルートの特徴
◆吉田ルート…初心者向き
- 往復距離:14㎞
- 標高差:1,450m
- 登り:約6時間半
- 下り:3時間半
*混んでいる
◆富士宮ルート…登りと下りの登山道が同じで迷う心配が少ない
- 往復距離:8.5㎞
- 標高差:1,350m
- 登り:約5時間半
- 下り:4時間
*混んでいる
◆須走ルート…下山時は砂礫の急斜面を下る砂走りを楽しめる
- 往復距離:13㎞
- 標高差:1,800m
- 登り:約7時間
- 下り:3時間半
*まずまずの混み具合
◆御殿場ルート…山小屋に泊まる1泊2日での工程が適している
- 往復距離:17.5㎞
- 標高差:2,300m
- 登り:約8時間半
- 下り:4時間半
*混んでいない
自分の体力に合ったルートを選び、
無理のない初登山に挑戦しましょう!
事前の情報収集は重要ですよ〜。
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